経済指標とは?株価が動くしくみと見方を図解【結果より「予想とのずれ」で動く】
この記事の要点
- 経済指標は、景気や物価・雇用の様子を表す数字です。決まった日と時刻に発表され、金利の見通しを通して株価や為替を動かします
- 値段が動くのは、結果そのものより「市場の予想とどれだけずれたか」です。予想どおりなら、動きは小さくなりやすくなります
- 景気が良いという数字が、金利が上がる心配から株安につながることもあります
📰 経済指標とは
経済指標経済指標(けいざいしひょう)国や中央銀行が決まった日に発表する、景気や物価・雇用の様子を表す数字。くわしく見る →用語集の一覧は、国や中央銀行が決まった日に発表する、景気や物価・雇用の様子を表す数字です。働く人が増えたか、ものの値段が上がったか、経済が大きくなったか。そうした「経済の健康診断」の結果のようなものです。国が発表するものだけでなく、日銀短観のように中央銀行が企業に聞いた調査もあります。
発表の日と時刻は、前もって公表されています。このサイトの経済指標カレンダーでも、日本時間で確かめられます。このコースでは、日本株を見るうえで大事な指標を、8回に分けて見ていきます。
🔗 指標は「金利の見通し」を通して効く
経済指標が株価を動かすのは、多くの場合、金利の見通しが変わるからです。
たとえば物価が大きく上がっているという数字が出ると、中央銀行が政策金利政策金利(せいさくきんり)中央銀行が景気と物価を調整するために決める、もとになる金利。くわしく見る →用語集の一覧を上げる(または下げない)と見られます。金利が上がると、お金を借りて事業をする企業には重しになり、株価が下がりやすくなります。日米の金利の見通しが変わると、ドル円も動き、輸出企業の利益の見方も変わります。
🎯 動くのは「予想とのずれ」
ここがいちばん大事なところです。指標の発表の前には、専門家の予想をまとめた市場予想市場予想(コンセンサス)(しじょうよそう)経済指標の発表の前に、専門家が出した予想をまとめた数字。くわしく見る →用語集の一覧があります。多くの人は、その予想を見こんで、すでに売り買いをしています。
そのため、結果が予想どおりなら、値段はあまり動かないことがよくあります。値段が大きく動くのは、結果が予想から大きくずれたときです。これを「サプライズ」と呼びます。下の図で、結果の数字を動かしてみてください。予想とのずれの大きさと向きで、受けとめ方が変わります。
結果 3.4%は、予想より0.4ポイント高い結果です。物価の上がり方が速いと見られ、金利が上がりやすく、株価の重しになりやすい方向です。ずれが大きいほど、動きも大きくなりやすくなります。
数字は説明のための見本で、実在のデータではありません。指標の結果だけで売買を決めないでください。
⏰ 発表の時刻を知っておく
日本の指標は朝に、米国の指標は日本時間の夜から明け方に発表されます。
米国の指標は、東証が閉まっている時間に出ます。そのため、日本株は次の朝、前の日の終わりの値段から離れて始まる窓窓(ギャップ)(まど)となりあう2本のローソク足のあいだにできる、ヒゲも重ならない値段のすき間。くわしく見る →用語集の一覧をあけることがあります。発表の時刻を知っておくと、「なぜ今朝は大きく下がって始まったのか」が分かるようになります。
🔄 「景気が良い」が株安になることも
もう1つ、はじめに知っておきたいことがあります。景気が良いという数字が、いつも株高につながるとは限りません。
たとえば米国の雇用統計米国の雇用統計(べいこくのこようとうけい)米国の労働統計局が、ふつう毎月はじめの金曜日に発表する、雇用の様子の数字。くわしく見る →用語集の一覧が予想より強いと、「景気が強いから株高」ではなく、「利下げが遠のくから株安」と受けとられることがあります。どちらに受けとられるかは、そのときに市場が何を気にしているかで変わります。指標を見るときは、数字と一緒に「いま市場は金利と景気のどちらを気にしているか」も考えます。
📋 このコースで見る指標
このコースでは、日本株を見るうえで大事な指標を、次の順番で見ていきます。
- 米国の雇用統計:米国の景気と金利の見通しを左右する、いちばん注目される発表
- 消費者物価指数(CPI):物価の上がり方。米国と日本の両方
- FOMC:米国の政策金利を決める会合
- 日銀の金融政策決定会合:日本の政策金利を決める会合
- 日銀短観:日本の企業の景気の感じ方
- GDPと小売売上高:経済の大きさと、消費の強さ
- 指標発表の日との向き合い方:持ち越し・株数・損切りの決め方
はじめから全部を覚える必要はありません。まずは★3つの発表の日と時刻を知り、その次の日の値動きを見てみるところから始めましょう。
📊 チャートで見るとこうなる
実際のチャートでは、重要な指標の次の日に、窓をあけて大きく動く足がよく見られます。その日に何の発表があったかを経済指標カレンダーで確かめると、値動きの理由が見えてきます。
✏️ 確認問題
Q1. 経済指標の発表で、値段が大きく動きやすいのはどんなときですか?
答えと解説
正解は「結果が予想から大きくずれたとき」。多くの人は予想を見こんで売り買いしているので、予想どおりなら動きは小さめです。予想から大きくずれたときに、大きく動きやすくなります。
多くの人は予想を見こんで売り買いしているので、予想どおりなら動きは小さめです。予想から大きくずれたときに、大きく動きやすくなります。
Q2. 米国の雇用統計や消費者物価指数は、日本時間ではいつごろ発表されますか?
答えと解説
正解は「夜21:30か22:30」。米国の指標は、米国東部時間の8:30に発表されます。日本時間では、米国の夏時間は21:30、冬時間は22:30です。
米国の指標は、米国東部時間の8:30に発表されます。日本時間では、米国の夏時間は21:30、冬時間は22:30です。
Q3. 景気が良いという数字が、株安につながることがあるのはなぜですか?
答えと解説
正解は「利下げが遠のき、金利が高いままになると見られるから」。景気が強い・物価が高いという数字は、利下げが遠のく(金利が高いまま)と受けとられることがあります。金利が高いことは、株価の重しになりやすいからです。
景気が強い・物価が高いという数字は、利下げが遠のく(金利が高いまま)と受けとられることがあります。金利が高いことは、株価の重しになりやすいからです。
この記事の用語
- 経済指標
- 国や中央銀行が決まった日に発表する、景気や物価・雇用の様子を表す数字。
- 市場予想(コンセンサス)
- 経済指標の発表の前に、専門家が出した予想をまとめた数字。
- 政策金利
- 中央銀行が景気と物価を調整するために決める、もとになる金利。
- 消費者物価指数(CPI)
- 暮らしで買うものやサービスの値段の動きを表す数字。
- 米国の雇用統計
- 米国の労働統計局が、ふつう毎月はじめの金曜日に発表する、雇用の様子の数字。
- 窓(ギャップ)
- となりあう2本のローソク足のあいだにできる、ヒゲも重ならない値段のすき間。
この記事は投資の考え方を学ぶためのもので、投資助言ではありません。投資は自己判断でお願いします。