日銀短観とは?業況判断DIの見方を図解【大企業・製造業の「変化」と「先行き」を見る】

この記事の要点

  • 日銀短観は、日銀が年4回、全国の企業に景気の感じ方を聞く調査です。4・7・10月のはじめと12月のなかごろ、朝8:50に公表されます
  • いちばん注目される業況判断DIは、「良い」と答えた割合から「悪い」と答えた割合を引いた数字です
  • プラスかマイナスかより、前の回から良くなったか悪くなったかと、3か月後の先行きを見ます。想定為替レートも手がかりになります

🏭 日銀短観とは

は、日銀が年4回、全国のたくさんの企業に、景気の感じ方や売上・設備投資の計画などを聞く調査です。正式には「全国企業短期経済観測調査」といいます。

数字で測る指標とちがい、企業の「感じ方」を集めたものです。たくさんの企業に同じ質問をくり返すので、景気の流れの変わり目が早く表れやすいとされます。前回の日銀のでも、大事な判断材料になります。日銀の総裁の会見でも、短観の結果にふれることがよくあります。

➖ 業況判断DIの出し方

短観でいちばん注目されるのが、です。

業況判断DI(見本):「良い」と答えた割合 −「悪い」と答えた割合30%良い50%さほど良くない20%悪い30%(良い)− 20%(悪い)= +10プラスなら「良い」と感じる企業のほうが多い業況判断DI(見本)「良い」−「悪い」30%良い50%さほど良くない20%悪い30%(良い)− 20%(悪い)= +10プラスなら「良い」と感じる企業のほうが多い
「良い」と答えた割合から「悪い」と答えた割合を引いた数字がDIです。この見本では 30% − 20% = +10 です。

企業は、自分の会社の業況(商売の調子)を「良い」「さほど良くない」「悪い」の3つから選びます。「良い」の割合から「悪い」の割合を引いたものがDIです。プラスなら「良い」と感じる企業のほうが多く、マイナスなら「悪い」と感じる企業のほうが多いことを表します。下の図で、「良い」と答えた割合を動かしてみてください。

大企業・製造業に聞いた景気の感じ方(見本)40%40%20%良い 40%さほど良くない 40%悪い 20%DI = 40 − 20 = +20前の回は +10
DI +20

「良い」40% −「悪い」20% = DI +20。前の回(+10)より10ポイント良くなりました(改善)。「良い」と感じる企業のほうが多い状態です。

数字は説明のための見本で、実在のデータではありません。指標の結果だけで売買を決めないでください。

📈 変化と先行きを見る

ニュースでいちばんよく出てくるのは、大企業・製造業のDIです。輸出や設備投資の動きが表れやすく、景気の流れを早く映すとされます。

大企業・製造業の業況判断DI(見本)051015+153年前今回最近先行き(3か月後)大企業・製造業の業況判断DI(見本)051015+153年前今回最近先行き(3か月後)
大企業・製造業のDIの見本。実線が今の感じ方(最近)、点線が3か月後の見通し(先行き)です。

大事なのは、プラスかマイナスかより、前の回から良くなったか(改善)、悪くなったか(悪化)です。たとえばDIが+15でも、前の回の+20から下がっていれば、景気の勢いが弱まってきたと読めます。あわせて、3か月後の見通しである「先行き」のDIも見ます。先行きが今より低ければ、企業がこの先を心配していることを表します。

💱 想定為替レート

短観では、企業が事業の計画に使っているも公表されます。

想定為替レートと実際のずれも、利益の見通しの手がかり145円企業が想定した1ドル(見本)短観で答えたこの1年の想定155円実際の1ドル(見本)想定より円安なら、輸出企業の利益は上ぶれしやすい想定為替レートと実際のずれも、利益の見通しの手がかり145円企業が想定した1ドル(見本)短観で答えたこの1年の想定155円実際の1ドル(見本)想定より円安なら、輸出企業の利益は上ぶれしやすい
企業が想定した1ドルの値段と、実際の値段(見本)。想定より円安なら、輸出企業の利益は計画より上ぶれしやすくなります。

たとえば企業が1ドル145円で計画を立てていて、実際が155円なら、輸出企業は円で見た売上が計画より増えやすくなります。決算の前に「利益が上ぶれしそうか」を考える手がかりになります。反対に、想定より円高になっていれば、利益が計画を下回る心配が出てきます。

📅 公表の時期

短観は、3・6・9・12月に調査をして、次のように公表されます。

年4回、日本時間 8:50。正確な日は日銀が前もって公表4月3月調査4月1日ごろ7月6月調査7月1日ごろ10月9月調査10月1日ごろ12月12月調査12月のなかごろ年4回、日本時間 8:50。正確な日は日銀が前もって公表4月3月調査4月1日ごろ7月6月調査7月1日ごろ10月9月調査10月1日ごろ12月12月調査12月のなかごろ
4月・7月・10月のはじめと、12月のなかごろ。どれも朝8:50です。

朝8:50の公表なので、東証が開く9:00の直前です。その日の寄り付きから、結果が値動きに表れやすくなります。結果は日銀のサイトに表で出て、ニュースでもすぐに伝えられます。

🔎 ほかに見るところ

短観では、大企業・製造業のほかに、大企業・非製造業(小売・サービス・不動産など)や、中小企業のDIも発表されます。製造業は輸出や世界の景気、非製造業は国内の消費の様子が表れやすいとされます。

企業の設備投資の計画も、景気の先行きを考える手がかりです。企業が工場や機械への投資を増やす計画なら、先の景気に自信があると読めます。また、企業が答えた物価の見通しは、日銀が物価の先行きを考えるときの材料にもなります。

📊 チャートで見るとこうなる

短観は朝8:50に出るので、その日の寄り付きから値動きに表れます。予想より良い結果なら、その日の足が上がって始まることがあります。

出来高日銀短観の日(予想より良かった)出来高日銀短観の日(予想より良かった)
日銀短観が予想より良かった日、上がって始まり、出来高も増えています(金色の帯と棒)。説明のためのイラストです。実在の銘柄や指数のチャートではありません。

🗓 カレンダーで確かめる

次の短観の公表日は、経済指標カレンダーで確かめられます。日銀は、1年分の公表予定を前もって出しています。

✏️ 確認問題

Q1. 「良い」が25%、「悪い」が35%のとき、業況判断DIはいくつですか?

答えと解説

正解は「−10」。DIは「良い」の割合から「悪い」の割合を引いた数字です。25 − 35 = −10 で、「悪い」と感じる企業のほうが多いことを表します。

Q2. DIが+15でした。前の回は+20です。どう読みますか?

答えと解説

正解は「プラスだが、前の回より悪化した」。プラスでも、前の回の+20から下がっているので悪化です。プラスかマイナスかより、前の回からの変化と先行きを見ます。

Q3. 日銀短観は、何時に公表されますか?

答えと解説

正解は「朝8:50」。日銀短観は朝8:50に公表されます。東証が開く直前なので、その日の寄り付きから値動きに表れやすくなります。

この記事の用語

日銀短観(全国企業短期経済観測調査)
日銀が年4回、全国の企業に景気の感じ方などを聞く調査。
業況判断DI
景気が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた割合を引いた数字。
想定為替レート
企業が事業の計画を立てるときに、前もって決めておく為替の値段。
金融政策決定会合(日銀)
日銀が政策金利などを決める会合。年8回、2日間開かれます。
市場予想(コンセンサス)
経済指標の発表の前に、専門家が出した予想をまとめた数字。
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この記事は投資の考え方を学ぶためのもので、投資助言ではありません。投資は自己判断でお願いします。

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