米国の雇用統計とは?見方と日本株への影響を図解【雇用者数・失業率・平均時給の3つを見る】

この記事の要点

  • 米国の雇用統計は、ふつう毎月はじめの金曜日、日本時間の21:30か22:30に発表されます。ドル円と日本株が大きく動きやすい発表の1つです
  • 見るのは、非農業部門雇用者数・失業率・平均時給の3つ。前の月の数字の修正もあわせて見ます
  • 雇用が強いと利下げが遠のき、ドル高・円安になりやすい。日本株では、輸出株と成長株で受けとめ方が分かれやすくなります

🇺🇸 米国の雇用統計とは

は、米国の労働統計局が毎月発表する、働く人の数や賃金の数字です。世界でいちばん注目される経済指標の1つで、ドル円や世界の株価が大きく動くことがあります。

米国の中央銀行(FRB)は、物価の安定と、雇用を最大にすることの2つを目標にしています。そのため、雇用の強さは、米国の金利の見通しに直結します。米国の金利が動くと、世界中のお金の流れが変わるので、日本株もその影響を受けます。第1回で見た「指標は金利の見通しを通して効く」の、代表的な例です。

🔢 見るのは3つの数字

雇用統計では、たくさんの数字が一度に発表されます。はじめは、次の3つを押さえておけば十分です。

万人非農業部門雇用者数前の月から、働く人が何人増えたか%失業率仕事をさがしているのに見つからない人の割合$平均時給時給がどれだけ上がったか(物価につながる)万人非農業部門雇用者数前の月から、働く人が何人増えたか%失業率仕事をさがしているのに見つからない人の割合$平均時給時給がどれだけ上がったか(物価につながる)
非農業部門雇用者数(働く人がどれだけ増えたか)、失業率(仕事が見つからない人の割合)、平均時給(賃金の伸び)の3つです。

いちばん注目されるのはです。農業以外で働く人が、前の月から何万人増えたかを表します。は低いほど雇用が強い状態です。の伸びは、ものの値段にもつながるので、物価の先行きを考える手がかりになります。

📊 予想とくらべて読む

雇用者数は、毎月のとくらべて読みます。

非農業部門雇用者数(前の月からの増え方・見本)22万人1月18万人2月25万人3月12万人4月16万人5月9万人6月今月の予想 15万人非農業部門雇用者数(前の月からの増え方・見本)22万人1月18万人2月25万人3月12万人4月16万人5月9万人6月今月の予想 15万人
雇用者数の増え方の見本。今月の結果(9万人)は、予想の15万人を下回っています。

たとえば予想が15万人で、結果が9万人なら「予想より弱い」、25万人なら「予想より強い」と受けとられます。下の図で、今月の結果を動かしてみてください。予想とのずれで、受けとめ方が変わります。

221月182月253月124月165月24今月単位:万人。金色の点線=今月の予想 15万人(見本)
予想より強い

雇用者数は24万人で、予想 15万人より9万人多い結果です。米国の景気が強く、利下げが遠のくと見られやすいので、米国の金利とドル円が上がりやすい方向です。日本株では、円安が追い風の輸出株と、金利の上がり方が重しになる成長株とで、反応が分かれやすくなります。

数字は説明のための見本で、実在のデータではありません。指標の結果だけで売買を決めないでください。

前の月や前々月の数字は、あとから直される(修正される)ことがよくあります。今月が予想どおりでも、前の月が大きく下に直されていれば、「雇用は思ったより弱かった」と受けとられることもあります。

🔗 日本株への効き方

雇用が強いと、なぜドル円や日本株が動くのでしょうか。流れで見てみます。

雇用が強い予想より多く増えた利下げが遠のく米国の金利が上がるドル高・円安ドル円が上がりやすい日本株は輸出株は追い風成長株は重し雇用が強い予想より多く増えた利下げが遠のく米国の金利が上がるドル高・円安ドル円が上がりやすい日本株は輸出株は追い風成長株は重し
雇用が強い → 利下げが遠のく → 米国の金利が上がり、ドル高・円安 → 日本株は、輸出株に追い風、成長株には重しになりやすい。

雇用が予想より強いと、FRBがを下げるのは先になると見られ、米国の金利が上がりやすくなります。金利の高いドルが買われ、円安になりやすくなります。円安は、自動車や機械などの輸出企業の円で見た利益に追い風です。一方で、金利が上がると、先の利益への期待で買われている成長株には重しになりやすくなります。

⏰ 発表の時刻

雇用統計は、ふつう毎月はじめの金曜日、米国東部時間の8:30に発表されます。

ふつうは毎月はじめの金曜日。日本時間では金曜日の夜21:30夏時間のあいだ3月の第2日曜から11月の第1日曜まで22:30冬時間のあいだ11月の第1日曜から3月の第2日曜までふつうは毎月はじめの金曜日。日本時間では金曜日の夜21:30夏時間のあいだ3月の第2日曜から11月の第1日曜まで22:30冬時間のあいだ11月の第1日曜から3月の第2日曜まで
日本時間では、米国の夏時間(3月〜11月はじめ)は21:30、冬時間は22:30です。

日本時間では金曜日の夜なので、日本株が反応するのは、次の営業日(ふつうは月曜日)の朝です。週末をはさむので、大きなをあけて始まることもあります。

🔎 ニュースの読み方

発表のあとのニュースは、たとえば次のように伝えられます(数字は見本です)。「雇用者数は25万人増と、予想の15万人を上回った。失業率は4.1%と前の月から下がり、平均時給は前年比+3.9%だった」。

この場合、雇用者数は予想より強く、失業率も下がっているので、雇用は強いと読めます。平均時給の伸びが大きいと、物価が下がりにくいという見方にもつながります。反対に、雇用者数が予想を上回っていても、前の月の数字が大きく下に直されていれば、受けとめ方は弱くなります。1つの数字だけでなく、3つの数字と修正を順に確かめるのがコツです。

📊 チャートで見るとこうなる

実際のチャートでは、雇用統計の次の営業日に、窓をあけて動く足がよく見られます。金曜日の夜に何が発表されたかを、月曜日の朝に確かめる習慣をつけておくと、値動きの理由が分かりやすくなります。

出来高雇用統計の次の営業日(月曜)出来高雇用統計の次の営業日(月曜)
雇用統計の次の営業日(月曜日)に、窓をあけて上がって始まり、出来高も増えています(金色の帯と棒)。説明のためのイラストです。実在の銘柄や指数のチャートではありません。

🗓 カレンダーで確かめる

次の雇用統計の日付と日本時間は、経済指標カレンダーで確かめられます。「指標ごとの次の発表日」の表には、米国の夏時間・冬時間も反映した日本時間が出ています。

✏️ 確認問題

Q1. 米国の雇用統計で、いちばん注目される数字はどれですか?

答えと解説

正解は「非農業部門雇用者数」。農業以外で働く人が、前の月から何万人増えたかを表す非農業部門雇用者数が、いちばん注目されます。失業率や平均時給もあわせて見ます。

Q2. 雇用者数の予想が15万人で、結果が25万人でした。どう受けとられやすいですか?

答えと解説

正解は「予想より強い」。予想を10万人上回ったので、「予想より強い」と受けとられやすくなります。利下げが遠のくと見られ、米国の金利とドル円が上がりやすい方向です。

Q3. 冬時間のあいだ、雇用統計は日本時間の何時に発表されますか?

答えと解説

正解は「22:30」。米国東部時間の8:30は、日本時間では夏時間のあいだが21:30、冬時間のあいだが22:30です。

この記事の用語

米国の雇用統計
米国の労働統計局が、ふつう毎月はじめの金曜日に発表する、雇用の様子の数字。
非農業部門雇用者数
農業以外で働く人が、前の月からどれだけ増えたか(減ったか)を表す数字。
失業率
働く意思があって仕事をさがしている人のうち、仕事が見つかっていない人の割合。
平均時給
働く人の1時間あたりの平均の賃金。米国の雇用統計で、前の月や前の年とくらべた伸びが発表されます。
市場予想(コンセンサス)
経済指標の発表の前に、専門家が出した予想をまとめた数字。
政策金利
中央銀行が景気と物価を調整するために決める、もとになる金利。
窓(ギャップ)
となりあう2本のローソク足のあいだにできる、ヒゲも重ならない値段のすき間。
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この記事は投資の考え方を学ぶためのもので、投資助言ではありません。投資は自己判断でお願いします。

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