財務の安全性の見方を図解【自己資本比率と営業キャッシュフローで「つぶれにくさ」を見る】
この記事の要点
- 財務の安全性は、会社の「つぶれにくさ」。買う前には、自己資本比率と営業キャッシュフローの2つを見れば十分です
- 自己資本比率は、資産のうち返さなくてよい純資産の割合。高いほど借金にたよっていませんが、ふつうの水準は業種で大きくちがいます
- 営業キャッシュフローは、本業で実際に入ってきた現金。利益が出ているのに、マイナスが続くときは理由を確かめます
🛡 「つぶれにくさ」を見る
ここまで、売上や利益、PER・PBRなど、会社の「もうける力」と「株価の高さ」を見てきました。最後に確かめたいのが、会社の「つぶれにくさ」、財務の安全性です。
どれだけもうかっている会社でも、借金が多すぎたり、手元の現金が足りなくなったりすると、景気が悪くなったときに一気に苦しくなります。そうした会社の株価は、悪いニュースが出ると、大きく下がりやすくなります。
財務の安全性を表す数字はたくさんありますが、チャートで選んだ銘柄を買う前なら、この2つで十分です。
📊 自己資本比率:借金にたよりすぎていないか
自己資本比率自己資本比率(じこしほんひりつ)資産のうち、返さなくてよい純資産(自己資本)の割合。高いほど借金にたよっていない。くわしく見る →用語集の一覧は、会社の資産のうち、返さなくてよい純資産純資産(じゅんしさん)会社の資産から負債(いずれ返すお金)を引いた残り。株主が出したお金と、これまでためた利益など。くわしく見る →用語集の一覧(自己資本)が何%かを表す数字です。
- 自己資本比率 = 純資産 ÷ 資産 × 100(%)
第2回の貸借対照表貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)決算の日に、会社が何を持っていて、そのお金をどこから集めたかを表す表。BS・バランスシートとも呼ぶ。くわしく見る →用語集の一覧を思い出してください。右側のうち、純資産の割合が大きいほど、借金にたよっていない会社です。景気が悪くなって利益が減っても、借金の返済に追われにくいと考えられます。
ふつうの水準は、業種で大きくちがいます。銀行や不動産、電力のように、たくさんのお金を借りて事業をする業種では、自己資本比率が低いのがふつうです。そのため、数字だけで決めず、同じ業種の会社や、その会社の前の年とくらべて見ます。前の年より大きく下がっていたら、借金が増えた理由を確かめましょう。
💴 営業キャッシュフロー:本業で現金が入っているか
営業キャッシュフロー営業キャッシュフロー(えいぎょうきゃっしゅふろー)本業で、実際に入ってきた現金から出ていった現金を引いたもの。営業CFとも呼ぶ。くわしく見る →用語集の一覧は、第2回で見たキャッシュフロー計算書キャッシュフロー計算書(きゃっしゅふろーけいさんしょ)1年のあいだに、現金が実際にいくら入ってきて、いくら出ていったかをまとめた表。CFとも呼ぶ。くわしく見る →用語集の一覧のうち、本業で実際に入ってきた現金から、出ていった現金を引いたものです。
利益は帳簿の上の数字で、売ったお金がまだ入ってきていなくても、利益として数えられます。営業キャッシュフローは、本当に現金が入ってきたかを表します。
見本の会社は、利益の上では毎年順調に伸びています。でも、営業キャッシュフローは減り続け、今年はマイナスになりました。売ったのに代金を回収できていない、売れない在庫が積み上がっている、といった理由が考えられます。
ふつうは、営業キャッシュフローはプラスが続くのが健全です。利益が出ているのに、営業キャッシュフローがマイナスの年が続くときは、決算短信や決算説明資料で理由を確かめましょう。
🔎 どこで見られる?
自己資本比率は、決算短信の1ページ目の「財政状態」の欄にのっています。営業キャッシュフローは、本決算の決算短信の1ページ目の「キャッシュ・フローの状況」の欄で見られます(四半期の決算短信には、のっていないことがあります)。
🔗 チャートとのつながり
財務に不安がある会社は、悪いニュースが出たときに、窓をあけて大きく下がることがあります。そうした銘柄を持つなら、ふだんより株数を減らす、損切りを早めに決めておく、といった工夫が考えられます。考え方は基礎コースのリスク管理を参考にしてください。
✏️ 確認問題
Q1. 資産が800億円、純資産が400億円の会社の自己資本比率はいくつですか?
答えと解説
正解は「50%」。自己資本比率=純資産÷資産×100なので、400÷800×100で50%です。
自己資本比率=純資産÷資産×100なので、400÷800×100で50%です。
Q2. 営業キャッシュフローについて合っているのはどれですか?
答えと解説
正解は「本業で実際に入ってきた現金の動きを表し、ふつうはプラスが続くのが健全」。利益は帳簿の上の数字で、現金がまだ入っていなくても計上されます。営業キャッシュフローは、本業で本当に現金が入ってきたかを表します。
利益は帳簿の上の数字で、現金がまだ入っていなくても計上されます。営業キャッシュフローは、本業で本当に現金が入ってきたかを表します。
Q3. 自己資本比率を見るときの考え方として合っているのはどれですか?
答えと解説
正解は「ふつうの水準は業種でちがうので、同じ業種の会社や前の年とくらべて見る」。銀行や不動産のように、自己資本比率が低いのがふつうの業種もあります。くらべる相手を決めて見ましょう。
銀行や不動産のように、自己資本比率が低いのがふつうの業種もあります。くらべる相手を決めて見ましょう。
この記事の用語
- 自己資本比率
- 資産のうち、返さなくてよい純資産(自己資本)の割合。高いほど借金にたよっていない。
- 営業キャッシュフロー
- 本業で、実際に入ってきた現金から出ていった現金を引いたもの。営業CFとも呼ぶ。
- 純資産
- 会社の資産から負債(いずれ返すお金)を引いた残り。株主が出したお金と、これまでためた利益など。
- 貸借対照表
- 決算の日に、会社が何を持っていて、そのお金をどこから集めたかを表す表。BS・バランスシートとも呼ぶ。
- キャッシュフロー計算書
- 1年のあいだに、現金が実際にいくら入ってきて、いくら出ていったかをまとめた表。CFとも呼ぶ。
- リスク管理
- 思ったのと逆に動いたときの損失を、あらかじめ決めた大きさにおさえるための考え方。
この記事は投資の考え方を学ぶためのもので、投資助言ではありません。投資は自己判断でお願いします。例に出てくる会社名と数字は、説明のための架空のものです。特定の銘柄をすすめるものではありません。